バレンタインデーのブスゴリラ。
本命チョコを卒業した、あやコムだよ★
バレンタインデー、甘酸っぱい思い出が一つもないよ。
そもそも冬が大嫌いで交際の一時停止をお願いしたいくらい、
外に出るのが嫌。
バレンタインデーて、冬真っ盛りのイベントで迷惑なの。
でも好きなブランドのチョコがあるので、若い頃は自分のために買いにいってたこともある。
だけどね、デパートの中の暑さと外気の気温差にヤられる。
そして化粧と香水とチョコが混ざりあった香りにヤられる。
で、もうやめた。イベントとして楽しむのを。
30歳になったとき、
「バレンタインデー卒業宣言」を今の彼氏にしました。
もっと若い頃は、過去の彼氏に「チョコあげない宣言」をしてた。
なんなら海外を見習って、くれと言っていたよ。
バレンタインデーもホワイトデーも、受け取る側であった。
ジャイアニズム炸裂。
お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの、状態。
育ちの悪さ炸裂。
そんなあやコムが、
初めてバレンタインデーに男の子にチョコをあげたのは、
小学生の低学年の頃だった。
クラスのお調子者の男子に「手作りチョコくれ。」と図々しいお願いをされた。
まだジャイアンだったあやコムは
「絶対に、いや。」と迷わず断った。
当時、一緒に遊んでいた女の子が、
すごくかわいかったので
たぶん男子は彼女に用があったのだと思うけど、
あやコムは、クラスに一人はいる、
美人と付き合うのを阻むゴリラみたいに狂暴なブスの友人であったため、(以下、ブスゴリラ。)
代表して断った。
しかし彼は「きちんとお返しするから!」と食い下がった。
ただの図々しい奴から、
ちょっと常識的な図々しい奴へと認識が変わった。
そこでかわいい友人は
「うーん、じゃあ、いいよ。ね?あやコム?」
と断れないような、了解を求めてきた。
「え、まあ、じゃあ、いっか。」とあやコムが言うと
「絶対、手作りな!」と念押しされた。
やっぱり図々しい。
そして好きでもなんでもないやつのために
自宅でチョコ作るって地獄みたい。
親に「好きなこにあげるの?」などと言われ、
親のネットワークにより「あやコム、アイツが好きで手作りチョコあげたらしいぜ。」などと噂になったら地獄である。
それは彼女も一緒だったようで、
「包み紙とれば手作りっぽいチョコ売ってるから、それにしよう。」と提案され、快諾。
自転車で20分ほどの距離に
女子しか入れない雰囲気の雑貨屋さんがあった。
ここなら、あの男子が来るはずもない。
そこに、小さなコーナーがあった。
チョコ詰め放題¥300。
赤、ピンク、青のケースのうち、
迷わず青を選び、ハート型の半透明のプラスチックに、
もりもり詰めて、
なんなら詰め終わったのを二人で半分くらい食べて、
包み紙を取ってチョコを容器に詰め込む。
よって容器が指紋だらけになったし、
衛生観念など皆無であったため、
手を洗ったかの記憶も曖昧だが、
別に好きでもない男の子にあげるものである。
まったく気にせず、家に届けに行ったら、
「よしよし、指紋もついてるな。」と彼は手作りに納得したようだった。
そしてその場で、お返しとして
かわいいハンカチと鉛筆などが入ったものをくれた。
たぶん予算一人あたり¥1000くらい。
こちらの金額は友人と、合わせて¥300だったので、
一人あたり¥150。
つまりおよそ7倍もの交換であった。UHOUHO。
それはこれから待ち受ける、
男女のバレンタインデーにおける
ホワイトデーのお返しの倍率を示唆しているようであった。
ブスゴリラとかわいい女の子は
「あいつ、指紋で判断してたね。」
「指紋、拭かなくてよかったね。」
「手作りだとは言ってないのにね。」など
男子が満足していたことに満足し、
一人はうふふ、一人はUHOUHOしたのでした。
そもそも買ったチョコ溶かして固めて、
手作りってなんや。
買うのが旨いに決まってらぁ。
ブスゴリラは人間の世界にまだ上手くなじめていない。
UHOUHO。