【要確認】宜しくご教示願います。

前提条件が人と違うようで、会話が成り立ちません。どうしたらよいか教えて下さい。

ステーキ屋に行ったら芥川龍之介の凄さに気づいた。

あくびしながら アメージンググレースを歌う、

あやコムだよ★

 

 リーズナブルな家族経営のステーキ屋に行ったときのこと。

ランチタイムであったが開店直後だったこともあり、

店内は落ち着いていた。

ステーキも提供され、カウンター席で

静かに友人、あーちゃんと食べていた。

 

すると、男性の店主がにこやかに話しかけてきた。

 

「ふあんすひん?」

 

不安す品???

さっぱり意味がわからない。再度店主は聞く。

 

「ふあんすひん?」

 

にこやかに、こちらの目を見て聞いてくる。

疑問系であることから、返事求めているらしい。

味に関係あることか?

しかし既にオーダーはとおっており、

美味しいと言いながら食べている真っ最中である。

 

あやコムは困った。露骨に困った顔をした。

一緒にいた、あーちゃんも困惑していた。

 

すると店主の妻と思われる女性が言った。

「フランス人?って聞いたのよね?」とアシストしてくれた。

 

「ふあんすひん?」は「フランス人?」であり、

店主のジョークであったのだった。

 

自分が何かを言って、

相手に伝わらなかったら、

語句を変える、ゆっくり言う、補足するとか

伝わる工夫すると思うんだ。

 

だけど、まったく同じ、イントネーション、スピードで

「ふあんすひん?」と聞く店主、、。

 

しかも内容は、ジョーク。

 

ステーキに関係ない、ジョーク。

あつあつ鉄板ジョークでもないジョーク。

ジョークとして成立してるか、疑問が残る、ジョーク。

 

その後、「ひょうはひゃふみ?」(今日は休み?)

など普通っぽい会話がジョークの後に続いたが、

不思議なことに

すぐに翻訳できるようになり、

あやコムは会話ができたが、

友人あーちゃんには最後まで何を言ってるか分からなかったそうな。

 

(あやコムにはこういうほぼ人生に役立たない才能がいくつかある。)

 

あやログ(あやコムの食べログ)では

「リーズナブルなステーキ屋」から

「滑舌わるいステーキ屋」へログの修正が行われた。

 

その後、友人を誘うときには

「滑舌わるいステーキ屋があるけど、どう?」と

誘うことになった。

 

その後、しばらくしてからそのステーキ屋に行ったら

入れ歯を治したのか、ハッキリと

「焼き方は?」と聞かれて

 

「え?」と聞き返してしまった。

 

「え?」の言葉の後には、

誰の許可で、

いったいどういうつもりで、

ハッキリと話してるの?

という気持ちがあった。

 

誰の許可もいらない。

どういうつもりも、なにもない。

 

だけど確かにその時に感じた、あの気持ち。

なんだろう、と思っていたら思い出した。

 

芥川龍之介の「鼻」 をご存じだろうか。

いや、この際知らなくてもよい。

この感情だったのだ。

 

(ー以下、本文抜粋ー)

――人間の心には互に矛盾むじゅんした二つの感情がある。勿論、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。所がその人がその不幸を、どうにかして切りぬける事が出来ると、今度はこっちで何となく物足りないような心もちがする。

少し誇張して云えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥おとしいれて見たいような気にさえなる。そうしていつの間にか、消極的ではあるが、ある敵意をその人に対して抱くような事になる。ーーー

 

ステーキ屋は何も悪くない。

滑舌が悪いという個性がなくなろうと、

本人も客も困らない。

聞きやすくなれば、むしろ喜ばしいだろう。

 

「ふあんすひん?」が二度と聞けないことが

なんだと言うのだ。

 

このように理屈で感情を押さえようとしても、

残念な気持ちが消えない。

 

何年かして、

また滑舌悪くなってることを望む、

自分を否定できずにいる。

まさに、

 

ーー少し誇張して云えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥おとしいれて見たいような気にさえなる。ーー

 

あふたかわゆうのふけ、まひりふへふと。

芥川龍之介、マジリスペクト。)