何してる?って言われると言葉がつまる。
電話がくる。
「何してる?」
LINEのメッセージがくる。
「何してる?」
「君の対応してるよ」と言いたくなるけど、
相手の意図を無視しては言えない。
「お仕事、何してるんですか?」
言えない。
言えない仕事はしてない。
だけど誇っていないし、ちょっと特殊で説明しがたい。
そしてただの世間話用に回答できない。
言ったなら、
イメージがつくから言いたくない。
わたしという人間を、切り売りした時間で判断されたくない。
サービス業界なら、気が利くとか。
銀行務めなら、細かそうとか。
公務員なら、真面目そうとか。
つまらないイメージ。
だからとにかく「普通の事務です。」
と答える。
事務作業の発生しない仕事などほぼないから。
それでも食い下がってきたら、「ちょっと特殊で。」
と面倒そうに答える。
「あなたは?」
で、充分。人は話がしたいらしい。
私は、話が目的で話をしない。
わたしという人間を知ってほしくて、あなたの異なる意見が聞きたくて、話をする。
だから知ってほしくない人には、何も話したくない。
意見の聞きたい相手以外、何も議論したくない。
話をすることは、わたしの好意そのものなのだと気付いた。
話を聞くことは苦ではない。
嬉しそうに何度も同じ話をされても、
ニコニコ聞いていられる。
しかし、相手にはわたしに好意があるわけではなく、
単純に気持ちよいからしてるだけの行為である。
それが既にちょっと寂しい。